2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧

東方幻想今日紀 七十八話  射抜くのは頭という名の林檎か

流れ落ちる汗。 一瞬の間に生死が決まる。辺りには緊張感が漂う。やがて、正対している丙さんが口を開いた。 「失敗したらごめんね?」 いや・・・失敗したら死ぬんですけど・・俺が・・。 きっと丙さんは強く頭を打ったのだろう。そうでなければ、 弓で人の…

東方幻想今日紀 七十七話  宴会の始まり

酒壷を門の前に運び終えた後、 俺はこれから始まる宴会の準備にいそしんでいた。具体的には、机を持ってきたり、来客用の座布団を運んだり、 料理の手伝いをしたり、酒壷を運んできたり。更には、いつもの広間に大きな木の舞台を置いた。人も徐々に集まりだ…

東方幻想今日紀 七十六話  よく喋れる先頭打者

「ええええ!?」 「どうした、そんな驚く事でもないだろう?」 「あのー・・・斬りますよ?」 「・・・んー、そんなに嫌なのか・・?」 「嫌だっ!!」ナズーリンは軽く顎に手の甲を当てて思案顔をした。「しかし逆に考えてみるんだ。 酔って興奮していない…

東方幻想今日紀 七十五話  恩人は自分では無い

「ただいまー・・。」 「リアくんお帰り!無事だったんだね!」 俺が命蓮寺に戻ると小傘が笑顔で出迎えてくれた。頬には小さな絆創膏が貼ってあった。 それが目に入ると少しだけツンと心が痛んだ。 「小傘、言いたいことがあるから・・客間に来て。」 「・・…

おまけ 命蓮寺に一つの質問。(脳内設定)

どうも、あおみどです。 最近小説をぱぱっと仕上げることが多いので、 雑になっていないか心配でしょうがないです^^;さて、一章が無事終わりました。(一生ではないですよ) ↑うわ、つまんねえwwww ・・・えー、二章に差し掛かってきましたww・・で…

東方幻想今日紀 七十四話  シンスイ ヒカリ()

・・・青い空が見える。 ・・寝ている所が固くて頭が痛い。・・・俺はどうして地面の上で寝ているんだ・・? 体を起こして、状況を確認してみる。 ・・・近くには屈強な男四人、 少し離れたところでもう一人が倒れていた。 あれ、何だこのおっさん共。 ・・…

東方幻想今日紀 七十三話  リアのち、ふかみなのみつ

今小傘は三人の大男に人質に取られている。白い首筋には四本の白刃。 くそっ・・・・・。 俺のせいで・・・。 奴は金目当てなのだから・・・。 「・・話がわかるじゃねえか。 だがよ、今はもう金はいらねえんだよ。」 男は差し出した財布を手で払った。 「・…

東方幻想今日紀 七十二話  明日は明日の風が吹くとは限らない

「リアくんっ、こうして二人でお出かけするのも久々だね!」 小傘が弾んだ声で、満面の笑顔で言う。 俺は今、彼女と招待状を配りに行っている。 ・・で、招待状を届けて、帰り道を歩いていた。 「そうだね、あの雹の時以来だね。」 ・・・そう、あの雹のとき…

東方幻想今日紀 七十一話  さびしがりやの傘

「丙さーん、なにやりますー?」 ナズーリンの部屋を出たあと、 丙さんが廊下を歩いていたので捕まえて訊いてみた。 勿論、意地悪な質問のつもりだった。 どうせここで「え?」ってなって、「実は・・」で事情を話す。 そんでもって一緒に漫才をやらないか訊…

東方幻想今日紀 七十話  また賑やかな日々が始まる

「んー・・・これなんかどうですか?」「さあ・・・・?」「さあ、じゃないですよ。しっかり考えて下さい。」 んー・・・。 「・・・・布団くらい自分で気に入った物を選んで下さいっ!!」 「む・・・わかりました。」 彼我さんは少しつまらなそうな顔をし…

東方幻想今日紀 六十九話  東方障夢異変

あの刻印も、命蓮さんの「肉体」も虚像・・・!? その言葉の意味が、すぐには理解できなかった。 「・・・つまり、あの時蘇生した命蓮の肉体は・・・ ・・・私が作り出した・・濃縮した夢そのものなのです。」 「っ!!?」 彼女は目を軽く伏せながら、淡々…

東方幻想今日紀 六十八話  僕はやりきった。俺はやりのこした。

「ありがとうございます・・・・こんな・・・我侭を聞いてくれて・・。」 地に伏した彼は微笑んでいた。 「命蓮さんっ・・・命蓮さんっ・・・!!!」 でも、そんな事はどうでも良かった。 「まだ・・・こっちの世界の話・・してませんっ・・!」 「・・・そ…

東方幻想今日紀 六十七話  蜘蛛は青い糸を紡ぐ

畑道、月明かりは二人と乾いた地面を照らしていた。 狂気とも虚無とも付かぬ眩い月光は両者の光と影を如実に投影していた。 彼は強く、強く死を懇願した。 ・・・理由は薄々わかっていた。 人一倍、人の気持ちがわかってて。人一倍、人を思いやれて。人一倍…

東方幻想今日紀 六十五話  なんだかんだでも、やっぱり自分は

「そうか・・・そんな事があったのか・・。」 ナズーリンは俺の手に包帯を巻きながら言った。俺は寺子屋から帰った後、広間で彼女に全容を話した。 彼女はそれを聞いて動揺したものの、 全部真面目に聞いてくれた。 彼女は包帯を巻き終わったあと、こんな事…

東方幻想今日紀 六十六話  lunatic nightmare

「・・・。」 何処からかふすまの音がしたので目が覚めてしまった。窓から差し込んだ月明かりは、俺を覚醒させた。・・障子、閉め忘れたのだろうか・・。 さっきから、何かがおかしいような気がする・・。 ・・ゆっくりと光の差し込む方向を見た。・・・黒い…

東方幻想今日紀 六十四話  小さな正義感

「先生・・・どうしたの?・・きゃっ、何これ!?」いたいけな腕にあの字体で刻まれた刻印。・・・間違いない。 あの刻印そのものだ。 黒々とした刻印、そのものだ。彼女の名前は狐狸精 野狐(こりせい やこ)という。 純血の妖狐その者である。彼女には母親…

東方幻想今日紀 六十三話  刻印は突然に

日記の六日目は白紙になった。 その日は久々によく眠れたことを憶えている。 日記の続きである。 七日目 特に変化なし。聖さんの刻印にも変化は無かった。 寺子屋の生徒がよく眠れないと訴えてきた。 欠席も常に一人か二人はいる状況だった。八日目 特に変化…

東方幻想今日紀 六十二話  解けてよかった

刻印が移動してゼロになるとどうなるのか 調べてみることにした。 折角なので刻印観察日記をつけてみた。以下、俺の主観と一緒にお送りします。 一日目 特に変化なし。他の人にも移っている感じは無かった。二日目 特に変化なし。今日の食事当番はナズーリン…

東方幻想今日紀 六十一話  誰も悲しませたくないんだ

「・・・あなたと私に、この『五』の刻印。 命蓮の刻印は跡形も無く消えていました。 そして、他の者にはこの刻印はありませんでした。」 「・・・。」 普段のおっとりとした言動とは裏腹に 淡々と、しかし一語一句はっきりと述べる聖さん。 どこか力強く、…

東方幻想今日紀 六十´話

・・彼がここに運ばれてもう十日になるな・・。掛け時計に横目をやると既に八時だった。彼は一向に目を覚まさない。 昼にも三回程彼の様子を見たが、目を覚ます様子がない。 夕方も二回程様子を見に行った。やはり彼は寝ていた。ただ無表情に、凍ったように…