2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧
流れ落ちる汗。 一瞬の間に生死が決まる。辺りには緊張感が漂う。やがて、正対している丙さんが口を開いた。 「失敗したらごめんね?」 いや・・・失敗したら死ぬんですけど・・俺が・・。 きっと丙さんは強く頭を打ったのだろう。そうでなければ、 弓で人の…
酒壷を門の前に運び終えた後、 俺はこれから始まる宴会の準備にいそしんでいた。具体的には、机を持ってきたり、来客用の座布団を運んだり、 料理の手伝いをしたり、酒壷を運んできたり。更には、いつもの広間に大きな木の舞台を置いた。人も徐々に集まりだ…
「ええええ!?」 「どうした、そんな驚く事でもないだろう?」 「あのー・・・斬りますよ?」 「・・・んー、そんなに嫌なのか・・?」 「嫌だっ!!」ナズーリンは軽く顎に手の甲を当てて思案顔をした。「しかし逆に考えてみるんだ。 酔って興奮していない…
「ただいまー・・。」 「リアくんお帰り!無事だったんだね!」 俺が命蓮寺に戻ると小傘が笑顔で出迎えてくれた。頬には小さな絆創膏が貼ってあった。 それが目に入ると少しだけツンと心が痛んだ。 「小傘、言いたいことがあるから・・客間に来て。」 「・・…
どうも、あおみどです。 最近小説をぱぱっと仕上げることが多いので、 雑になっていないか心配でしょうがないです^^;さて、一章が無事終わりました。(一生ではないですよ) ↑うわ、つまんねえwwww ・・・えー、二章に差し掛かってきましたww・・で…
・・・青い空が見える。 ・・寝ている所が固くて頭が痛い。・・・俺はどうして地面の上で寝ているんだ・・? 体を起こして、状況を確認してみる。 ・・・近くには屈強な男四人、 少し離れたところでもう一人が倒れていた。 あれ、何だこのおっさん共。 ・・…
今小傘は三人の大男に人質に取られている。白い首筋には四本の白刃。 くそっ・・・・・。 俺のせいで・・・。 奴は金目当てなのだから・・・。 「・・話がわかるじゃねえか。 だがよ、今はもう金はいらねえんだよ。」 男は差し出した財布を手で払った。 「・…
「リアくんっ、こうして二人でお出かけするのも久々だね!」 小傘が弾んだ声で、満面の笑顔で言う。 俺は今、彼女と招待状を配りに行っている。 ・・で、招待状を届けて、帰り道を歩いていた。 「そうだね、あの雹の時以来だね。」 ・・・そう、あの雹のとき…
「丙さーん、なにやりますー?」 ナズーリンの部屋を出たあと、 丙さんが廊下を歩いていたので捕まえて訊いてみた。 勿論、意地悪な質問のつもりだった。 どうせここで「え?」ってなって、「実は・・」で事情を話す。 そんでもって一緒に漫才をやらないか訊…
「んー・・・これなんかどうですか?」「さあ・・・・?」「さあ、じゃないですよ。しっかり考えて下さい。」 んー・・・。 「・・・・布団くらい自分で気に入った物を選んで下さいっ!!」 「む・・・わかりました。」 彼我さんは少しつまらなそうな顔をし…
あの刻印も、命蓮さんの「肉体」も虚像・・・!? その言葉の意味が、すぐには理解できなかった。 「・・・つまり、あの時蘇生した命蓮の肉体は・・・ ・・・私が作り出した・・濃縮した夢そのものなのです。」 「っ!!?」 彼女は目を軽く伏せながら、淡々…
「ありがとうございます・・・・こんな・・・我侭を聞いてくれて・・。」 地に伏した彼は微笑んでいた。 「命蓮さんっ・・・命蓮さんっ・・・!!!」 でも、そんな事はどうでも良かった。 「まだ・・・こっちの世界の話・・してませんっ・・!」 「・・・そ…
畑道、月明かりは二人と乾いた地面を照らしていた。 狂気とも虚無とも付かぬ眩い月光は両者の光と影を如実に投影していた。 彼は強く、強く死を懇願した。 ・・・理由は薄々わかっていた。 人一倍、人の気持ちがわかってて。人一倍、人を思いやれて。人一倍…
「そうか・・・そんな事があったのか・・。」 ナズーリンは俺の手に包帯を巻きながら言った。俺は寺子屋から帰った後、広間で彼女に全容を話した。 彼女はそれを聞いて動揺したものの、 全部真面目に聞いてくれた。 彼女は包帯を巻き終わったあと、こんな事…
「・・・。」 何処からかふすまの音がしたので目が覚めてしまった。窓から差し込んだ月明かりは、俺を覚醒させた。・・障子、閉め忘れたのだろうか・・。 さっきから、何かがおかしいような気がする・・。 ・・ゆっくりと光の差し込む方向を見た。・・・黒い…
「先生・・・どうしたの?・・きゃっ、何これ!?」いたいけな腕にあの字体で刻まれた刻印。・・・間違いない。 あの刻印そのものだ。 黒々とした刻印、そのものだ。彼女の名前は狐狸精 野狐(こりせい やこ)という。 純血の妖狐その者である。彼女には母親…
日記の六日目は白紙になった。 その日は久々によく眠れたことを憶えている。 日記の続きである。 七日目 特に変化なし。聖さんの刻印にも変化は無かった。 寺子屋の生徒がよく眠れないと訴えてきた。 欠席も常に一人か二人はいる状況だった。八日目 特に変化…
刻印が移動してゼロになるとどうなるのか 調べてみることにした。 折角なので刻印観察日記をつけてみた。以下、俺の主観と一緒にお送りします。 一日目 特に変化なし。他の人にも移っている感じは無かった。二日目 特に変化なし。今日の食事当番はナズーリン…
「・・・あなたと私に、この『五』の刻印。 命蓮の刻印は跡形も無く消えていました。 そして、他の者にはこの刻印はありませんでした。」 「・・・。」 普段のおっとりとした言動とは裏腹に 淡々と、しかし一語一句はっきりと述べる聖さん。 どこか力強く、…
・・彼がここに運ばれてもう十日になるな・・。掛け時計に横目をやると既に八時だった。彼は一向に目を覚まさない。 昼にも三回程彼の様子を見たが、目を覚ます様子がない。 夕方も二回程様子を見に行った。やはり彼は寝ていた。ただ無表情に、凍ったように…