2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

東方幻想今日紀 百話記念番外編 強盗をする行事じゃないからね

寒風が吹き荒ぶ季節、風も冷たくなってきた。幻想郷の秋はどんどん深まってきた。 ・・・よし、そろそろだ・・・ 「・・・リア。どうしてこんなにかぼちゃを買ったんだい?」 木枯らしが足の間を抜けるお昼ごろ。 市場から命蓮寺への帰り道。 眉根を寄せつつ…

東方幻想今日紀 百二十七話  雪解けの月。

目の前で、一人の少女がお腹を刺され、膝を突いた。 少女の口からは、鮮血が滴り落ちた。 黒髪の少女の手は、震えていた。 俺は聞こえぬのも忘れて叫び続けていた。 道はそんな俺をなだめすかそうとしていた。 椛さんは、ひたすら落ち着きなさそうに月と少女…

東方幻想今日紀 百二十六話  雪辱の月。

陰る満月の下。 二人の少女は、激しく刀と拳を交えていた。 一方は必死の形相で刀を激しく振り抜き、怒涛の如く攻めていた。もう一方は憂悶の表情でその刀を腕で無言で受け流す。 誰がどう見ても、丙さんが押している。 ・・・いや、もっというと、戦いにな…

東方幻想今日紀 百二十五話  仇討の月。

陰った満月の下、焦土になった山の上。 道についていき、言われた場所で、俺と椛さんは腰を下ろした。 道いわく、彼女達には見えないようになっている・・・らしい。 あと、余計な抵抗をしたらコチョコチョした後ぶすり。とのこと。怖い。 腰を下ろしてから…

東方幻想今日紀 百二十四話  若きパイロット、ご臨終する

「・・・椛さん。」「どうしたんですか?」 彼女に肩を貸してもらって妖怪の山を移動することしばし。 喉の調子も少しずつ、回復してきた。昨日の敵は今日の友とはよく言ったものだ。 既に彼女には、感謝の念を感じている。 もしも、追い返すだけなら腕を切…

お知らせというにはあまりにも酷いと自分でも思います

リア「・・・あの。このタイトルは何ですかね。」彼我「あまりにも・・・雑ですよね。相変わらずです。」あおみど「まあ、細かいことはいいじゃん。 こんな形で一度やってみたかったんだよ。」「・・・しゃしゃり出てくるなんて珍しいですね・・・」「何でお…

東方幻想今日紀 百二十三話  せきわんのがいらいじん

薄れた視界から、ぼんやりと何かが見える。 ぼうっとした赤い光に照らされた、木の影。 「・・・。」 身体がびりびりする。 顔がひりひりする。 何だか、けだるい。 「・・・はっ!?」 がばっと起き上がると、目の前にあの少女がいた。 しゃがみこんで、俺…

東方幻想今日紀 百二十二話  いぬばしり もみじ揉め揉め

「・・・はあ・・・。」 妖怪の山を登りながら、暗い顔で溜息をつく。 足どりも、歩行のそれになっていた。 今、一人だ。辺りの夕暮れは徐々に深くなっていく。 こんな状況なのも、それなりに訳がある。 調子に乗って走りまくってたら、 案の定というか、ム…

東方幻想今日紀 百二十一話  時すでにお寿司!

「・・・はい、これを飲めば大丈夫だよ。」「・・・。」 俺は命蓮寺に戻った後、野孤にもらってきた薬を渡した。 小さな狐の女の子は顔を輝かせて受け取り、それを飲んだ。 「早くよくなるんだぞ・・・?」 俺はピンクのふわふわの髪をそっと撫でた。 ・・・…

東方幻想今日紀 百二十話  事変の真相は誰だ

「・・・これはまいったな・・・。」 朝一番の、ため息のようなひとこと。 今俺は、寝巻きのまま、正座にして虫かごを持ち上げている。 もし今鏡を目の前に置かれたら、 映った目の前の顔は曇ってるという印象を受けるだろう。 「なんで全滅してるんだよ・・…

東方幻想今日紀 百十九話  やった毒蛾だ!わっしょいわっしょい

「はあ・・・丙さん、軽いな・・・。 ちゃんと物を食べてるのかな・・・?」 丙さんを布団に運び込んで、軽く一息。 丙さんを負ったのは初めてだったのだが、軽い。 同じ年齢くらいの小春よりも軽かった。 これも、毒の作用なのだろうか。 ・・・でも、彼女…

東方幻想今日紀 百十八話  敵と毒はいつも身近なところに

額に刺さる床は固くて、氷のように冷たかった。自分の顔が熱いから、そう感じたのかもしれない。 強い痛みが唇からして、鉄の味がした。知らず知らず、強く唇を噛んでいたのだろう。 身体はほとんど人間のままなのだから、仕方ない。 季節とはそぐわない、八…

東方幻想今日紀 百十七話  すれ違いの始まり

「慧音先生にお願いがあるんですっ!」 「・・・あー、開口一番にどうしたんだ?」 寺子屋に着いて、慧音先生に会うや否や、 頭を下げてお願いした。慧音先生は戸惑いながらの苦笑いだった。 「慧音先生、道について詳しく教えてください。」「以前に教えた…

更新式 幻想今日紀劇中キャラクター紹介 (完全版)

随時更新します。お楽しみ(?)に。 更新履歴 十月 九日 名前リストにエルシャを追加。 九月 二十四日 メルシア、日車 堂の説明を追加。小春の能力訂正。 八月 五日 丙の年齢を修正。 二十八日 キャラクターの枠を一つ追加。 メルシアの基礎設定固定。 七月…

東方幻想今日紀 百十六話  彼我事は僻事にあらず

野孤を寝かしつけた後、 俺は彼我さんから彼女の考察を聞いた。・・・積もる話になるかもしれないので、 部屋を一応空けて、外で話すことにした。 外に出るともう真っ暗で、水を撒いたような光が 煌々と空に散らされていた。この時期にしては珍しく、空気は…

東方幻想今日紀 百十五話  ドクガトキシン

「・・・どうルーミア、見つかった?」「だめだー・・・見つからないよ・・・。」 がっくりとうなだれる金髪ショートボブの女の子。 別にそんなに熱心に探さなくてもいいのにな・・・。 特にそっちに利点は無いわけだし・・・。 「このままじゃ・・・ご飯に…

東方幻想今日紀 百十四話  盲目ナイトバード、その名はルーミア

暗い道を歩く一人の少年の影。 着慣れた様子の和服の襟も直さず、手には小さな手提げ鞄。 どこか物憂き顔で、後ろ布をわずかにはためかせていた。 「・・・今から帰ると、大体九時くらいになるのかな。」 歩を進めながら、誰ともなしに独り言をつぶやく。 も…