2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

東方幻想今日紀 百七話  林に潜む一つ目のアウトサイダー

俺とナズーリンは、組んでいた互いの腕を解いた。 決して付いている量は多くない血の付いた赤い着物。ぐしゃぐしゃに壊された、参加者の唯一の明かりである提灯。 ・・・さっき地面に落ちていたこの二つから導き出されるもの。 それは、この近くに何かがいる…

東方幻想今日紀 百六話  最期の判子

二個目のチェックポイントを抜けると、道幅が少し広くなっていた。 夜は更に深くなって、木々は少しだけ数が減った。少しずつ、出口に近付いてきているのだろう。 ・・・そういえば。 始まってから一度も、他のお客さんに会っていない。 それはそれで好都合…

東方幻想今日紀 百五話  ゆがんだ提灯は温かく照らし

虫の声に遠くからのカエルの声が加わって。 夜の林道も、いよいよ静けさと寂しさをかもし出していた。二人で歩く道は、息苦しさなんてとうに超えて、恐怖の一つだった。 無言の圧力。彼女がどんなつもりなのかは分からないけど、 少なくとも今の俺には途轍も…

東方幻想今日紀 百四話  最低だ。クズだ。バカだ。愚か者だ。

「なんか・・・この提灯、でかいね・・・。」 「当たり前だろう?これ一つで進むのだから・・・。」 本殿に行くとどういう訳か、係員さんから簡単な説明があって、 その後でかい提灯を渡された後、妖怪の山に飛ばされました。 妖怪の山の中腹から帰って来い…

軽く予告。(微ネタバレ?)

こんぺいとう(「こんばんは」っぽいから)。あおみどです。 幻想今日紀三章、今回の百一話〜と序話が全くつながらない人へ ・・・いや、多分今からだとつながらないと思います。 つながった人はそれこそ、宇宙人か彼我さんです。 「みかんがひとつ、りんご…

東方幻想今日紀 百三話  お祭り雑踏、花交々

「すごい屋台の数だねー・・・人の数も・・・。」 「・・・ああ、本当にすごいな・・・。」「二人とも、はぐれないでくださいよ?」 「・・・子ども扱いか、ご主人。」「いえいえ、私もはぐれそうですから。そのぐらいすごい人の数ですよね・・・。」 七月の…

東方幻想今日紀 百二話  お祭り前々夜

俺がここに来て早八ヶ月。 梅雨が明けて、すでに蝉が至る所でけたたましく あのジリジリ声でわめいている。 幻想郷にも、そんな暑い夏がやって来た。 あの刻印異変からも、もう半年が経っていた。 残された問題は妖怪化のみ。 それさえ解決すれば、もういつ…

東方幻想今日紀 百一話 異変を終えて、さあ謎解き

「わあっ・・・本当にリア君をそっくりそのまま 女の子にしたみたいだねっ・・・! この目元なんかもう完全にそっくりで・・・!」 今目の前で黒髪で猫耳の少女の頬を 目を輝かせながらつついたり触ったりしている 背丈の小さな赤帽の女の子、丙さん。 俺は…

東方幻想今日紀 三章  序話  今と過去の縁を結ぶ

「・・・おや、目を覚ましましたか? かれこれ、一ヶ月も寝ていたのですね。」 きょとんとした紅い瞳の前に 少々大人びた、微笑む包帯の少女が映りこんだ。 丸一ヶ月、寝ていた。 ・・・その事実を、少女は難なく飲み込んだ。 もちろん原因は、彼女が長い、…