2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧
俺とナズーリンは、組んでいた互いの腕を解いた。 決して付いている量は多くない血の付いた赤い着物。ぐしゃぐしゃに壊された、参加者の唯一の明かりである提灯。 ・・・さっき地面に落ちていたこの二つから導き出されるもの。 それは、この近くに何かがいる…
二個目のチェックポイントを抜けると、道幅が少し広くなっていた。 夜は更に深くなって、木々は少しだけ数が減った。少しずつ、出口に近付いてきているのだろう。 ・・・そういえば。 始まってから一度も、他のお客さんに会っていない。 それはそれで好都合…
虫の声に遠くからのカエルの声が加わって。 夜の林道も、いよいよ静けさと寂しさをかもし出していた。二人で歩く道は、息苦しさなんてとうに超えて、恐怖の一つだった。 無言の圧力。彼女がどんなつもりなのかは分からないけど、 少なくとも今の俺には途轍も…
「なんか・・・この提灯、でかいね・・・。」 「当たり前だろう?これ一つで進むのだから・・・。」 本殿に行くとどういう訳か、係員さんから簡単な説明があって、 その後でかい提灯を渡された後、妖怪の山に飛ばされました。 妖怪の山の中腹から帰って来い…
こんぺいとう(「こんばんは」っぽいから)。あおみどです。 幻想今日紀三章、今回の百一話〜と序話が全くつながらない人へ ・・・いや、多分今からだとつながらないと思います。 つながった人はそれこそ、宇宙人か彼我さんです。 「みかんがひとつ、りんご…
「すごい屋台の数だねー・・・人の数も・・・。」 「・・・ああ、本当にすごいな・・・。」「二人とも、はぐれないでくださいよ?」 「・・・子ども扱いか、ご主人。」「いえいえ、私もはぐれそうですから。そのぐらいすごい人の数ですよね・・・。」 七月の…
俺がここに来て早八ヶ月。 梅雨が明けて、すでに蝉が至る所でけたたましく あのジリジリ声でわめいている。 幻想郷にも、そんな暑い夏がやって来た。 あの刻印異変からも、もう半年が経っていた。 残された問題は妖怪化のみ。 それさえ解決すれば、もういつ…
「わあっ・・・本当にリア君をそっくりそのまま 女の子にしたみたいだねっ・・・! この目元なんかもう完全にそっくりで・・・!」 今目の前で黒髪で猫耳の少女の頬を 目を輝かせながらつついたり触ったりしている 背丈の小さな赤帽の女の子、丙さん。 俺は…
「・・・おや、目を覚ましましたか? かれこれ、一ヶ月も寝ていたのですね。」 きょとんとした紅い瞳の前に 少々大人びた、微笑む包帯の少女が映りこんだ。 丸一ヶ月、寝ていた。 ・・・その事実を、少女は難なく飲み込んだ。 もちろん原因は、彼女が長い、…