2012-01-01から1ヶ月間の記事一覧

東方幻想今日紀 三十三話  凍死の恐怖と白昼夢

「・・・もうこんな時間か・・・。」時計の針は十時半を指していた。私はさっきから何か欠けている様な 喪失感に似たものを感じていた。 ・・・何だろう。・・考えるまでも無い。寺子屋に行っている彼の事だ。本来ならもう戻ってくる時間帯だろう。恐らく、…

東方幻想今日紀 三十二話  白銀の雪山=白い悪魔

「うあ・・・やっとおわった・・。」 俺は机に突っ伏した。 急にお腹が減ってきた。「お疲れ様。お茶でも淹れようか?」 青い髪の先生が優しく訊いて来た。 「いえ、平気です・・・。」やっと子供の冬休みの宿題の採点が終わった。 かなり分厚めの冊子を四冊…

東方幻想今日紀 三十一話  先生になるらしい

俺が命蓮寺に来て一ヶ月が経った。帰る手がかりはまだ見つからず、 この一ヶ月間、命蓮寺の手伝いや掃除をしていた。・・・幻想郷に、冬が来た。厳寒の冬。雪や寒さを考えると、 前の場所の十二月の中旬くらいだろうか。 雪も次第に降るようになった。この一…

東方幻想今日紀 三十話  改めてよろしく

「・・・ここにいた鶏はどうなったの?」 とりとめもない事をナズーリンに訊く。「ああ、丙が飼っている鶏か。 畳をほぼ全て啄ばんでいたから丙に元の場所に戻させた。 あの馬鹿、さっき聖にこっぴどく怒られていたよ。 ・・で、ご覧の通り、畳は新しいのに…

東方幻想今日紀 二十九話  奇夢、再び

・・・寒い・・・。急に寒くなり、身震いして起きた。 どうやら寝てたみたいだ。寒い。毛布欲しい。落ち着いて周りを見回す。 ・・誰もいない閑散とした教室。 机と椅子が理路整然と並んでいる。 全ての机は空だ。窓の外はガラスが曇っていて見えない。 とに…

東方幻想今日紀 二十八話  見えない行間を読む

「じゃあ説明するけど・・・っと、その前に一つ確認。」 丙さんが話を止めた。何だろう。「この文字は知ってる?漢字。」どうやら凄く馬鹿にされたみたいだ。あ、でも異世界の人だし、聞いて当然か。 「うんまあ、一応・・・。」「じゃあさ、あんまり難しい…

東方幻想今日紀 二十七話  いざ行かん古道具屋

寝起きの悪い俺が、珍しく鳥の鳴き声で目が覚めた。・・・けたたましい鳥の鳴き声で。眠い目をこすって、訊く。「・・・なにしてるの・・。」 「・・・え、雄鶏。」何故か立派なニワトリを抱えた丙さんが 俺の布団の前でしゃがみこんでいた。もう突っ込みど…

東方幻想今日紀 二十六話  刀の謎を解き明かそう

「ふーん・・・そんな事があったんだね・・。」 「・・・そうか。そんな悪夢を見ていたのか。」夢の経緯を話すと、二人とも感慨深そうにしていた。 いい人達だなあ。たかが夢なのに・・。「だから刀の名前が知りたかったのね・・。」 「うん。そうなんだ。ど…

東方幻想今日紀 二十五話  そして夢は夢のままに

「おい・・・リア・・。」聞き覚えのある澄んだ低いトーンの声。 「んっ・・・。」 恐る恐る目を開けると、ナズーリンの顔が目の前にあった。「わわっ!?ナ・・・ナズ!?彼我って人は!?」「・・・彼我?誰だいそれは・・?」 ナズーリンが眉をひそめる。…

東方幻想今日紀 二十四話  煌月

月が欠けない。それどころか明るさを増している。 かつて無い異常な光景に頭が付いて行かない。幻想郷ではこういうことがあるのかも、と思ったのだが ナズーリンの様子を見る限りその線は無さそうだ。 ナズーリンの顔色は変わっており、額には冷や汗が流れて…

東方幻想今日紀 二十三話  The fulmoon floating in empty

命蓮寺の屋根の上で月食を見ることになった。 上った経緯を簡単に説明しようと思います。屋根の上に上れない俺はナズーリンさんに笑われながら 頑張って上ろうとしましたが結局駄目だったので諦 め ま し た 。そしたらナズーリンさんが笑いながら 自分で上…