2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧
僕は青年、紫詠さんの家にお邪魔している。 見る限りの質素な和室に、存在感を放つザル。目の前の芳醇な香りを立てる蕎麦。 それを見る自分の目が、あまりにもぎらついていたのだろう。「どうしました、食べていいですよ?」少しだけ呆れながら僕は自分の食…
今日も、朝が来た。 硬い岩肌から身体を起こすと、背中がひりひりした。あの日から、三日が経った。「おはよっ、ヒカリ!」そして目の前には少し返り血を浴びた少女ぴのすけ。 朝から、とても心臓に悪いものを見てしまった。この子、ほとんど笑わない。 とい…
暗い林道、ぴのすけの色白の右手にほんのりと薄い明かりが集まる。僕は彼女、ぴのすけに手をひかれ、虫の鳴く道を歩く。 空気がじめっとしていて、少し蒸し暑い。僕たちは、今食料を採りに行っている。 僕は、僕と架空の友達の名前以外の全ての記憶を失った…
身体が、何だかまとわりつくように重くて。空気が、まるで自分と一体化しているように、 身体の奥底に、透明になって染み込んでいるようだった。ここは、一体どこなんだろう。 目を開けて上を見上げると、ゆらゆら揺れている薄い青い光芒。心なしか、息が苦…
一面の神秘的な、無色で敷き詰めた清らかな世界が、 ひたすら僕の時間を奪っていった。「なんだよ、この大雪は・・・。」足に掴みかかる雪に絶望感さえ感じる。 ただでさえ遅刻気味なのに、これじゃ本格的に遅刻してしまう。朝一番で、卒業式の全校予行演習…
「あーん、深水はどうしてもっと手際良くできなかったの・・・。」緑髪ボブの少女が、だるそうにぼやく。「いいじゃん。結果としてあいつを止められたんだろ?」少年は、涼しい顔で返す。「そうだけどさー・・・こんなのって、ないよ・・・。」「そう言うけ…
こんな拙い文章をここまで見て頂いた方、 本当に感謝してもしきれないです・・・。かなり原作を改悪しているような気がして、 なんだか恐れ多いやら、いろいろあれです。おまけに病んでいるかと思うくらい重いですが、本当はギャグが好きなんです。 何故か書…
名前 リア 東雲 晩秋(本名) 初登場 一話種族 人間→半妖 年齢 16歳→18歳性別 男性 身長 やや高 二つ名 妖刀の使われ手、非業の外来人 能力 心が通じ合った者の能力を強化する程度の能力 人間友好度 高 危険度 中 戦闘能力 弱妖怪クラス〜一般妖怪クラス 天…
「そっか。」力なく笑うことしかできなった。 昔からあまり判断力は良くないが、頭の回転だけは自信があった。今だけは、その頭脳が疎ましかった。「あっ小春様、市場で給油してきますね。」 「おう、行ってこーい。」 ののも一緒だった。すぐにこちらの意図…
誰のために、こんなに喉切らして走っているのか。 喉掻き裂き血を吐くまで、叫び続けたのだろうか。自分が、自分で抑えきれそうになかった。 ぜんぶぜんぶ、自分が弱いからなんだ。 自分さえ強かったら、こんなことにはならなかったのに。こんなに、だらしな…
上がる息がどんどん激しくなっていって、頭もぐらぐらしてくる。 痺れたように感覚を失くした左腕は、刀の柄を手放した。大好きで、大切な人を殺害したけだものを、殺せなかった罪悪感。 昔からずっと憧れていた恩人に斬りかかった罪悪感。目の前にいるのは…