2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧

東方幻想明日紀 四十二話 人工太陽のある近代地下都市

「なあってば!なんで無視するんだよ!」 さきほどから、狼少年に付き纏われて困っている。 それも、数時間前に攻撃してきた奴がである。 介抱したとはいえ、あまり関わりを持ちたくないところだ。ただ、それ以上に。 「僕はお前に興味がない。だから、これ…

東方幻想明日紀 四十一話 地霊殿の主と

「結構遠いんだね」 二件目の休憩。 今度は屋台ではなく、ちゃんとした呑み屋である。 さすが地下と言ったところか、薄暗く穏やかな陽気だ。そして何よりも、呑み屋が多い。 物の値段や質が場所によってピンキリ。 若干の違いではあるけれども、それすら新鮮…

対称的な、君と

重たい灰一色の空模様の下。 草の香りが混ざる木の戸の前で、何度も知り合いの名を呼んだ。 「いないのか…?」 「そのようですね、見てきましょうか隊長」 尻尾にぶら下げている籠から、高い声。私の相棒の小鼠だ。 「いや、いい」 粗末な戸に手をかけると、…

東方幻想明日紀 四十話 旧都にて

前を歩む少女の足取りは、躊躇なく、軽やかだった。 手押し車のカラカラという音が小気味よかった。 あたかも足を引きずる怪我人に、 ついておいでと言ったことを忘れているかのようであった。そもそも、怪我を治そうかと言われてついてきたのだ。 ご飯を食…