2012-09-01から1ヶ月間の記事一覧

東方幻想今日紀 百十三話  祭りの終わりは肌寒くて

命蓮寺にたどり着き錠を開けると、案の定誰もいなかった。 閑散としていて、寒々としていて。それでいて広くて。 そびえ立つ鐘は、重々しくぶら下がっていた。 どこか、いつもの命蓮寺じゃない気もする。 あの後、俺は屋台の方で皆に経緯を一通り話した後、 …

東方幻想今日紀 百十二話  アマル蛾ムの恐怖にさらされて

「・・・ちょっといいですかっ・・・!」 「秋兄、そんな掻き分けんなよ!すみません、すみませんっ!」 俺が人ごみを掻き分けているよそで、小春は頭を下げながら必死で謝っていた。 無理もない。自分自身、そんな迷惑な事はよっぽどのことが無い限りしない…

東方幻想今日紀 百十一話  リユニオンカウンター?

「おはよー・・・あれ?」寝起きで眠い目をこすりながら、広間に下りると、 怪訝そうな顔で新聞に目を通すネズミの女の子の姿があった。あれ・・・命蓮寺って新聞取ってたっけ? 「・・・号外だと書いてあったから買ってきたはいいのだが・・・」彼女は俺に…

こぼれ話

こんばんは、あおみどです。 ちょっとしたお知らせ込みの雑記です。 今東方幻想今日紀は百十話までありますよね。実は十数話、タイトルを付けていないのがありますが、近々付けます。 また、キャラクター説明の方も早く補完します。 二章までのまんまですの…

東方幻想今日紀 百十話  深い禍根をのこしたまま

「・・・ごめんね・・・連れてきておいて、いきなりこんな事言って・・・。」丙さんは、そのままの格好で、そのままの表情で言った。 彼女が仰ぎ見ているのは星ではなく、そのもっと向こうに思えた。「・・・大丈夫ですよ。」 俺は、それしか言えなかった。 …

東方幻想今日紀 百九話  お祭りの夜に生きていて

祭囃子と雑踏を背景に、二人の青年がたたずむ。 身長差は僅かだが、呈している年齢には少し差がある。 俺はシャクナゲさんから思いがけない事を言われた。 深水が、俺にとって必要がない。 いくらシャクナゲさんの言葉でも、 咄嗟にそれを信じることは出来な…

東方幻想今日紀 百八話  相の無知

「くそっ・・・!腕で深水を弾くなよっ・・・!!」「落ち着きなよ・・・そんな軽いものを全力でぶつけられても 人間だって怪我すらしないからね・・・?」 少年に向けられた渾身の一振りは、あえなく腕で払われてしまった。 鞘付きで、おまけに凄く軽い刀で…