2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧

東方幻想今日紀 百六十九話 最後の刺客は、温厚で冷酷

とうとう、この世界が終わる予定から既に二日が経った。 朝起きて周りを確認しても、 俺の部屋であることは覆す事が出来ない。ナズーリンさんが近くで寝ていたのも、 現実に戻すには十分な効果があった。 昨日と何も変わらないから、逆に怖くなる。 変わるは…

東方幻想今日紀 百六十八話 深水の目的、終わるはずだった悪夢

あの夜退院してから、また日が昇る。 本当ならば、今日はもう幻想郷に戻っているはずなのに。少し前からひしひしと感じているのだが、何かがおかしい。 そして、あれから彼我さんの姿を見ない。 本人は力尽きて、この世界は余韻のようなものなのだろうか。だ…

東方幻想今日紀 百六十七話 予定通りならば、夢幻世界の最終日

こんにちはリアです。ただいま人生でベスト20を争うピンチに陥っています。どういう事かというと、十年来の友人が俺に羽交い絞めをして、 クラスの真面目な女の子がそんな俺を包丁で刺し殺そうとしています。 いや、刺し殺そうとしているのかは不明です。 も…

東方幻想今日紀 百六十六話 懐古して、前を向いて、笑顔で帰ろうよ

「・・・シュウ、その腕どうしたんだ?」登校するや否や、駆けよってきた稟にそんな事を尋ねられた。 もちろん、視線は包帯でぐるぐる巻きになった手。「あー、転んだの。」 「どんな転び方したらそうなるんだよ・・・。」もちろん嘘だった。本当は袖は空っ…

東方幻想今日紀 百六十五話 記憶から、実体へ

ナズーリンさんが寝てから一時間ほどが経過した。電気を消さずに寝てしまうなんて、よほど疲れたのだろうか。 「ん・・・」 ・・・彼女の伸びに少し驚いたが、まだ寝ている事を確認した。 というか、当たり前か。 あんな事があって、疲れないはずがない。傷…

東方幻想今日紀 百六十四話 過信は身をズタズタに引き裂く

空は、月がたくさんの光を纏って、 ベランダの二つの影を明るく照らしていた。 「・・・ひとつ、尋ねたいことがあるんだ。」沈んだ面持ちで、でも取り繕うように声色は明るめに。 そうナズーリンさんが俺に問いかける。 「・・・うん。」 俺は軽くうなずくと…

東方幻想今日紀 百六十三話 記憶を消す魔法の言葉

「・・・凄いね。」 俺がそんな事をぼんやりと呟くと、 紺色の髪の少年はにっと歯を見せた。 「あんまり、動揺しないんだな。」 「まあね・・・もう何があっても驚かないよ。」 半透明な青いフィルターを通したような世界。 空中に浮くように、無重力のよう…