2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

東方幻想明日紀 四十五話 獣たちの酒宴と奇怪少女

「さて」 アヤクと名乗ったがたいの良い犬のような青年はやおら正座を崩した。 威圧感のようなものは彼には無かったけれど、 初対面の人間に対して警戒してもしすぎるなんて事はありえない。「どういう用件で」 口が、乾いていたのを感じた。 「大した用事で…

東方幻想明日紀 四十四話 僕に付き纏うへんなやつら

狼少年、砂銀の家のそばに清潔感のある人の少ない定食屋があった。 喫茶の役割も兼ねたそこに、お昼時二人で食事をしていた。「なあ、ヒカリはどうしていつもじゃがいもは生で食うんだ。 茹でた方が柔らかくておいしいと思うんだけど」 考えてみれば、確かに…

東方幻想明日紀 四十三話 ひとつめの使命

草のにおいを強く感じた。 どうやら、さきほど雨が降ったらしい。静かな林だったけれど、妙な威圧感を覚える。 ここにいてはいけないような気さえする。風が、吹いた。「…動くな、さもなくば首を跳ねる」 明確な殺意の籠る女性の声に冷や汗を促された。背後…