東方幻想今日紀 十話  みんなの自己紹介を黙って聞く

「・・・さて、程よく場が冷えたところで、
 私から自己紹介と行こうか・・・。」

おいこらネズミ。完全に利用されたよ畜生。

気にした風もなくナズーリンさんが続ける。

「二度目になるが、私の名前はナズーリン
 妖怪ネズミだ。わからないことがあったら
 常識の範囲で何でも聞いてくれ。よろしく。」

常識の範囲って・・。聞きづらいなおい・・・。

次に鮮やかなグラデーションの金と紫の髪で
胸の自己主張が・・・その・・強い女性が立ち上がって
自己紹介を始めた。黒と白の服が凄く目を惹く。

「私はここの・・・まあ言ってしまえば住職に
 当たります、聖 白蓮です。あまり堅苦しくならず
 不安でしょうがゆっくりして行って下さいね?」

ほんわかした笑顔が素敵だ・・。いい人そう・・。
みんなしっかり憶えなきゃな・・。

そして今度は船長帽でセーラー服の人が自己紹介した。
「私は村沙 水蜜といいます。ムラサって呼んでね。
 気軽にいつでも話しかけていいからよろしくねリアくん。」

何だか気さくな人だ。みんないい人だなあ。
次に青い頭巾の人が自己紹介を始めた。
「はじめまして。面白そうな人で何よりです。
 えっと、雲居 一輪と言います。見越し入道です。
 何とぞよろしくお願いしますね。」

待て。この人にとっては何よりも面白みが大切なのか。
続いて虎のようなカラーリングの髪色と赤い髪飾りと
服装の人が始めた。良く見るとかなり背が高い。
ヤンキーという言葉が頭をよぎったが飲み込んだ。

「初めまして、リアさん。
 寅丸 星と申します。毘沙門天代理です。
 未熟者ですがよろしくお願いしますね。」

うやうやしく、凄く丁寧だ。ヤ・・・じゃなくて
見た目とは180度違う人だ。

次に青い髪で・・ん?左右の目の色が違う・・。
赤と青だ。初めて見た。こんな人もいるんだな・・。

「えへへ、初めましてリア君。多々良 小傘って言うんだ。
 私も最近ここに来たんだよ。新入り同士お互い宜しくねっ。」

何だか茶目っ気のある感じだ。かわいい。
今度は黒ニーソの人が自己紹介をした。

「ん、私は封獣 ぬえっていうんだ。よろしく。
 あんまりなれなれしくしないで欲しいけど、
 少しなら話してあげてもいいからね。」

う・・・手厳しいな。好意的じゃないなあ・・。
まあ、いきなりだし当たり前か。むしろこれが普通だ。
ぬえさんはまだ続けた。

「それに、私はあんたの事を完全に信用したわけじゃない。
 度が過ぎた行動はやめてほしいからね。それだけ。」

・・・うう。手厳しい。
まあ・・・当然の・・反応だしね・・・?

「・・・すみません。ぬえはあんまり素直じゃないんです。
 あの子の言うことはそんなに気にしないで下さいね。」
寅丸さんが耳打ちしてきた。

ナズーリンさんが最後に締めくくった。
「ではみんな一通り終わったようだね。
 じゃあ、後は普通にしてくれ。」

「あのー・・。俺はこれからどうすれば・・。」
「ん・・・君か・・。」
俺がこう聞くとナズーリンさんはしばらく思案顔になった。
少し考えて、ナズーリンさんはこう言った。

「よし、今日の夕飯は私が作るんだが・・・それを
 君に手伝ってもらおうかな。できるかい?」

もちろんだ。卵掛けご飯なら作れる。

「じゃあ、台所に案内するからついて来てくれ。」
ナズーリンさんが手招きした。

こうして、全員の自己紹介を聞き、
料理を手伝うことになりました。
正直、不安でいっぱいです。
ちなみにこの世界に来る二日前、カレーを作ろうとしたら
見事に焦がしましたリアです。
野菜も千切りと書いてあったけど
ぶつ切りになりましたリアです。
さあ、なんでも来いや。
出来れば簡易的なものがいいと思います。
 

つづけ