東方幻想今日紀 四話  誰か俺を泊めてください

「ここが人里か・・・。」
着いたのは小さな農村だった。
ここなら危険もないかな・・・。

てかさっきまで危険な所にいたんだな俺・・・。
やべ、全然危機感なかったわ。

とりあえず頭が割れそうなほど痛い。
てか頭触ったらなかなかの出血だった。
畜生あのちびロングホーン。何だよあれ。
吐き気がするくらい頭が痛いじゃねえか。
おいおい焦点が合わなくなってきたよ。

どっかの民家で宿探しのついでに治して貰おう。

あ。刀どうしよう。
・・・泊めてもらえないよなこれ・・・。

とりあえず近くの民家に行くことにした。
数刻後
「ごめんね〜家は刀持っている見知らぬ人を
 泊めるほど寛大じゃないんだ・・・。」
速攻断られた。畜生。
腹が立ったので数軒当たってみる。
「ごめんなさい・・・危ない人はちょっと・・。」
「家は子供がいるんだ、悪いが帰ってくれないか?」
「・・・帰れ。」
流石にへこんだ。
あれ、小さな農村って暖かい人が多いんじゃないの?
・・俺の偏見?
あ、刀か。そうかいそうかい。
・・・やっちまった。
とりあえず今日は野宿かな。
もう日は落ちて暗くなっていた。
・・・食べるもの無いよなあ。
・・・どうしよう。
とりあえず近くの木の影で寝ることにした。
おなか減ったけど眠気が先。
・・・頭痛くて寝れねえ。

・・どうしようこれ。化膿したら死ぬぞこれ。

とりあえず治せる所無いかなあ。
最後に一軒当たってみよう。
・・・刀は置いておこう。

「すいませーん、怪我しちゃったんですけど・・。」
「どうしたんですか?」
その家の人は服装が村人Aっぽいお兄さん。
何で敬語なんだろう。俺より3つは上じゃないの?
頭を見せた。
「うわ!たた大変じゃないですか!
 急いで治療します!待っててください!」
・・・え?あ、まさかそんなに心配されるとは・・。
・・あ、戻ってきた。でっけぇ薬箱だねおい。
頭を消毒してもらった。しみて痛い。
「いったいどうしたんですかその傷・・。」

「どうしたもこうしたも転んだんですよ。」
「・・・嘘ですね。」
「え?」
何でばれたし。
「だって妖気が出てますよ?傷口から・・・。」
「ええ!?」
「・・・あ。」
そのお兄さんはあわてて口を押さえた。
・・・何か言ってはいけなかったんだろうね。

「・・妖気ってなんですか・・。」
「・・・何でもないですよ。」
お兄さんは無理して笑顔を作っていた。
「まあ、こちらに聞く権利は無いですから。
 消毒止血、ありがとうございました。」
「あ、ごめんなさい・・。あとどういたしまして・・。」
「はい。ではさようなら・・。」
「あ、待ってください!!」
家を出ようとしたら呼び止められた。
「・・宿、あるんですか・・・?」
「えっと・・・無いですけど・・・。」
「もし良かったら、今日は泊まって行きませんか?」
「え?良いんですか!?」
「はい。一人暮らしなんで話し相手が欲しいんですよ。たまには。」

という訳で、その日はその青年の世話になる事にした。


つづけ