東方幻想今日紀 三話 危険な妖怪少女

林道を歩くこと数時間。。
襲って来ようとする妖怪に何度も出会った。
しかし、その度に木の横に構え、木を見ずに斬る。
いとも簡単に木を切り裂くと、逃げて行った。
もちろん自分に倒れないように角度を調整して斬っている。

しばらくするとまた、
向こうから大きな角を生やしている少女が来た。
角がでかい。湾曲している。腕に鎖がついている。
オレンジの髪にリボン。ただしちまこい。
顔が赤い。酔っ払っているあれだ。

一見小さくてあどけないが、似たような容姿のやつに
執拗に食って掛かるのもいたので油断は出来ない。

その少女はこちらに気付くと走ってきた。
念のため、木の横に構えた。

立ち止まった。じっとこちらを見ている。
・・・酒臭い。

・・・話しかけてこない。
一応話しかけてみる。

「どうしたんですか?」
「その剣・・・。」

どうやら剣を見ていたようだ。
気になるのもしょうがないかもしれない。

「この剣はかなり危ないからね。
 触っちゃ駄目だよ?」

「・・・人間。随分分不相応なものを持ってるね。」
「・・・え?」

その少女は目つきが随分きつかった。
見下している目だった。
そして目がお前にはもったいないといっていた。
何者だろうか・・。酔っているが・・。

「分不相応って・・・持ってるから
 しょうがないじゃん。君は・・・何者?」

「へえ。結構大層な口を利くんだね。全然私を
 恐れないし。面白い人間だね。ちょっと
 私と力試ししていく気はない?」

・・・力試し?何を言っているんだ。
・・でも案外強いのかもしれない。

「いいですよ。何するんですか?」

「簡単。今から私があなたを殴るから
 それを受け止めて。反応できたら勝ちで。」

「はあ。受け止めるだけでいいんですか?」

「あはは。やっぱり気に入ったよ。その自信!
 普通の人間には到底無理だよ?」

・・・は?

「じゃあいくよーっ!」

「ちょっ!!待っ・・!?」

刹那、頭が地面に叩きつけられた。
一瞬で視界が消え、見えたのが地面だった。
奔る痛み。割れるような痛み。

・・・とても少女の一撃ではなかった。
割れそうな頭を抱えて起き上がる。

「・・・やっぱりね。普通の人間か。
 寸止めしておいて良かったよ。」

・・・は?寸止め・・?
・・ってことはあれ風圧・・?

・・急にすさまじい寒気が襲ってきた。

「でも度胸は認めるよ。見逃してあげる。
 その刀、絶対に誰にも取られないほうがいいよ。」

そう言ってその少女は去っていた。
あれは一体・・・。

まだ本調子でない頭を働かせ、人里に行く方が
いいと判断したので人里に向かった。

そろそろ人里が見えてきた。



つづけ